静岡県三島市の人気観光スポット、三島スカイウォークから車で3分くらいのところに、山中城跡というお城の跡があります。後北条氏が小田原城の支城として築き、日本百名城にも選ばれていますが、お城自体は残っていません。また、国の史跡にも登録されています。
後北条氏と豊臣氏の激戦が繰り広げられた地ですが、今はきれいに整備されていて、公園のようになっているので、お散歩にピッタリです。遊具はないですが、芝生の広場があって子供も走り回って遊べます。
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山中城跡へのアクセス
三島スカイウォークから行くと、国道一号線の山中城口という信号を右折します。そのまま道なりに進むと、道路の左右に無料の駐車場があります。また、売店が右側の駐車場にあります。定休日は月曜日です。ちなみにこの売店で、百名城のスタンプを押すことができます。スタンプは売店の外にあるので、定休日の月曜日でも押せます。
箱根方面からだと、道の駅箱根峠から車で10分くらいです。
山中城跡を散策
駐車場に車を止めると、看板に従って遊歩道を歩いてみました。敷地内の植木はとてもきれいに手入れされていて、「これで無料でええの?もしかして三島市お金持ちか?」と思ってしまいました。
しばらく歩くと「田尻の池」がありました。当時はここの池の水を、馬の飲用水などとして使っていたそうです。
池を過ぎると、植木職人さんらしき方たちが休憩していて、そのそばの土手の植木が見事に真ん丸に手入れされていました。あまりに綺麗なんで、何枚も写真を撮ってしまいました。ホンマに無料でええんか…。
そこを過ぎると道はやや上り坂になり、だだっ広い広場に出ました。西の丸があった場所だそうです。広場からさらに少し高いところが、見張り台だったところです。そこから下を見ると、北条流築城術の特徴と言われる、障子掘が見えます。障子の桟(さん)のように区画されているので、このように呼ばれるそうです。今では当時の形状を維持するために、きれいに芝が敷かれていますが、当時は土が露出しており滑りやすく、一度堀に落ちると蟻地獄のように這い上がるのが困難だったようです。そのため守る北条氏は敵の動きを封じ込められ、攻撃しやすくなるというわけです。
このお城、実は通常お城と言われてイメージするような石垣は使われておらず、その代わりに土を掘ったり盛ったりして造られたそうです。
敷地全体はかなり広く、ぐるっと一周するだけで30分以上はかかると思いますが、歩道、芝生や植木はきれいに手入れされているので、歩いていてとても気持ちがいいです。ただ、山城なので多少の上り下りはあります。
ところで敷地内の案内文を読んでいると、「曲輪(くるわ)」という言葉がやたら出てきて、何ことか全然わからなかったのですが、調べると、「石垣、堀などで区画したお城の中の区域」のことだそうです。
歴史
山中城は1560年代に、北条氏3代目当主、氏康(うじやす)によって、番城(城主を置かない城)として築城されました。戦国時代の北条氏は、鎌倉時代の北条氏と区別して、後北条氏や小田原北条氏とも呼ばれます。ちなみに後北条氏の初代は北条早雲(そううん)です。
5代目当主北条氏直(うじなお)のころ、豊臣秀吉との関係が悪化すると、増築に取り掛かりましたが、その完成前の1590年3月、秀吉が小田原征伐の初戦として山中城を攻撃、わずか半日ほどで落城しました。
この時の北条氏側の軍勢が3千から4千、部将は、北条氏勝(うじかつ、氏康の親戚。逃げ延びて、その後は徳川家康の家臣になりました。)、山中城主、松田康長(やすなが、戦死)、間宮康俊(やすとし、戦死)らでした。
豊臣方の部将は豊臣秀次(ひでつぐ、秀吉の甥)、徳川家康らで4万から7万の軍勢と圧倒的に有利でしたが、一柳直末(ひとつやなぎ なおすえ)が間宮康俊の軍の銃弾に倒れるなどの打撃も受けました。一柳直末は早くから秀吉に仕え、黄母衣衆(きぼろしゅう)という秀吉自らが選抜した精鋭集団にも数えられていました。
攻める豊臣方は数で有利とはいえ、沼津方面からここまでの山を登ってきてからの戦いなので、それは大変だったと思います。
松田康長、間宮康俊、一柳直末らは、三ノ丸にある宗閑寺(そうかんじ)境内のお墓に眠っています。つわものどもが夢の跡。
ちなみに秀吉は現在の群馬県にある松井田城にもほぼ同時に攻撃を仕掛け(前田利家、上杉景勝、真田昌幸ら)、守る大道寺政繁は1カ月以上持ちこたえたものの、最後は降伏開城しました。
年表
1560年頃 | 3代目当主、北条氏康が山中城を築城 |
1582年 | 本能寺にて織田信長が明智光秀に暗殺。その後山崎の戦いにて豊臣秀吉が明智光秀を破る |
1590年3月 | 豊臣秀吉の攻撃により、山中城が落城 |
1590年7月 | 北条氏直が豊臣秀吉に降伏。小田原城が開城 |
まとめ
山中城跡の場所は三島スカイウォークの近くなので、合わせて訪れやすい。日本百名城、国の史跡。駐車場、入場無料。売店は月曜定休。
現在は堀に芝生が敷かれるなど、きれいに整備されており、後北条氏の城に特徴的な「障子掘り」などが見られる。広場や高台があり、遠く沼津の街並みや、富士山を臨むことができる。敷地はけっこう広く、ぐるっと徒歩で一周すると30分以上かかる。
山中城は後北条氏により、小田原城の支城として築かれたが、1590年の豊臣秀吉による小田原征伐の際に陥落。
周辺エリア情報
道の駅
- 箱根峠 (神奈川県足柄下郡箱根町)
- 伊豆ゲートウェイ函南 (静岡県田方郡函南町)
- 伊豆のへそ (静岡県伊豆の国市)
世界文化遺産
- 韮山反射炉 (静岡県)
- 須山浅間神社 (静岡県)
百~三百名山
- 箱根山 (標高:1438m、三百名山)
- 金時山 (標高:1212m、三百名山)
日本百名城
- 小田原城 (小田原市)
名勝や史跡、天然記念物など
- 山中城跡 (史跡 、三島市山中新田、田方郡函南町)
- 箱根関跡 (史跡 、足柄下郡箱根町)
- 箱根旧街道 (史跡 、神奈川県足柄下郡箱根町、静岡県三島市・田方郡函南町)
- 丹那断層 (天然記念物 、田方郡函南町)
- 元箱根石仏群 附 永仁三年在銘石造五輪塔・石造五輪塔・永仁四年在銘石造宝篋印塔 (史跡 、足柄下郡箱根町)
その他のエリア情報
- 道の駅 箱根峠 (神奈川県箱根町箱根381-22)
- 農産物直売所 フレッシュ錦田店 (静岡県三島市谷田字城の内141-1)
- JA ふれあい市 (静岡県裾野市佐野1087)